「劣化するオッサン社会の処方箋」山口周の本の内容&読書レビュー

劣化するオッサン社会の処方箋
なぜ一流は三流に牛耳られるのか


著者:山口 周(ヤマグチシュウ)
出版社: 光文社
発行日:2018年9月13日
 

この本がオススメの人

・オッサンになりたくないと思う方
・オッサンを相手にすることが多い方
・オッサンの対処に困る方
 

まず、断っておくが、
この本のオッサンは、

・ニオイが臭いおっさん
・肌があぶらぎっている
・普段着がダサい
・オヤジギャグを連発

などというような、
キモいおっさんと言われるオッサンのことではない。

 
この本でいうオッサンの定義とは、
ある種の行動様式・思考様式を持った特定の人物像として定義される

古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を否定する。

過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない

階層序列の意識が強く、 目上の者に媚び、目下のものを軽く見る

よそ者や異質なものに不寛容で、排他的

出典明記 劣化するオッサン社会の処方箋  P10

傍若無人な振る舞いをして自らを省みることのない人々のことを指し、
それは必ずしも中高年の男性=オッサンではない。
 

年齢を重ねていても、
そうでない人はオッサンではない。

逆に、若くても、
そのような考え方をするとオッサンに属する。

 
本書では、オッサンの根本要因を明らかにし、
オッサン化しないための対策が書かれている。
 

目次より

はじめにー本書におけるオッサンの定義
第1章 なぜオッサンは劣化したのかー失われた「大きなモノガタリ」
第2章 劣化は必然
第3章 中堅・若手がオッサンに対抗する武器
第4章 実は優しくない日本企業ー人生100年時代を幸福に生きるために
第5章 なぜ年長者は敬われるようになったのか
第6章 サーバントリーダーシップー「支配型リーダーシップ」からの脱却
第7章 学び続ける上で重要なのは「経験の質」
第8章 セカンドステージでの挑戦と失敗の重要性
最終章 本書のまとめ

 

最近では、
オッサンのいろいろな不祥事と言われる問題が起こっている。

・日大アメフト部監督による暴行指示と事件発覚後の雲隠れ
・神戸市や横浜市の教育委員会等によるいじめ調査結果の隠蔽
・財務省による森友・加計問題に関する情報の改竄・隠蔽 など
 

いい大学入って、大企業に就職して、
豊かな人生が送れるという「大きな物語」があった世代。

しかし、時代は確実に変化し、
世代によって考え方や価値観が変わってきている。

 

昔のいい大学入って、大企業に就職してという
物語が通用しなくなっている。

その時代変化を捉えずに、
今までの価値観を通すと、問題が発生する。

その変化を捉えられない、
受け入れられないのをオッサンの劣化と呼び、
劣化が激しい世代は50、60代が多い。

 
下からの意見や反論、
異論がないことがオッサンを劣化。

一方的なやり取りは、
信頼関係のない上下関係になる。
 

「このようなオッサンの劣化をどのように防いでいくか。」

 
時代錯誤の「昭和的な価値観」を転換する時期に来ている。

オッサンの長年の経験とカンは武器になるが、
昔の話が若者には通じない。
 

そこでカギになるのは、
40代以下の世代の連動。

今の時代は流動性知能が重視され、
新しい場面への適応に必要な能力を発揮できる人の力が必要。

 
<オッサンの劣化に対抗する方法>

社会で実権を握っている権力者に圧力をかけるとき、そのやり方には大きく「オピニオン」と「エグジット」の二つがあります。

オピニオンというのは、おかしいと思うことについてはおかしいと意見するということであり、
エグジットというのは、権力者の影響下から脱出するということです。

出典明記 劣化するオッサン社会の処方箋 P56

本書で出てくる、
「オピニオン」と「エグジット」を考えてみることが大事。

サラリーマンとして生きていくと、
両方とも難しいと感じるケースがある。

どう意見するのか?どうやって脱出するのか?を考える必要がある。

 
そして本書には、さらにこう書かれている。

劣化したおっさんの下で納得できない理不尽な仕事を押し付けられている立場にある人であれば、まずオピニオンとエグジットという武器を意識してほしい。

オピニオンとエグジットもしないのは不祥事に加担するのと同じ

逆に言えば、オピニオンもエグジットもしないということは、
権力者の言動を支持しているということでもあります。

出典明記 劣化するオッサン社会の処方箋 P57

 
「どうやって脱出するのか」という部分では、
ハイ・モビリティが必要。

 (ハイ・モビリティ:どこの会社や仕事でもやっていける力)
 

この力を身につけよう。

そうるすことで、
会社からのクビや評価に怯えは減ってくる。

 

そして、オッサンが考えていく方向は
支配的なリーダーシップが機能しない時代がやってくることを頭に入れ、
支援的なリーダーシップを考えること。

(支援的なリーダーシップ:サーバントリーダーシップ)

今までのやり方だけではなく、
リーダーシップの枠組みを考え直してみること。

リーダーのパラダイムシフトを考え
懐の深い人間になればオッサンを抜け出せる。
 

そのためには、経験が必要になり、
経験で大事なのは「量」よりも「質」
 

好奇心を持って、謙虚さを忘れずに、
学び続けること。

これが非常に大切なこと。
 

オッサン、若者関係なく、
好奇心を持って、謙虚さを忘れずに、学び続けることは、
すべての人にとって大切なことだと思う。

⇒ 劣化するオッサン社会の処方箋

 

その他の山口周の本
⇒ 「武器になる哲学」山口周の本の内容&読書レビュー