武器になる哲学のレビュー
人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
「哲学って何だよ!」
「哲学はよく分からないし、
哲学を学んでどうなるの?」
哲学に対して、
そのような否定的な意見も多いかも知れません。
哲学と言うと、大量の文章が並んでいて、
読むだけでも挫折しそう・・・
言葉も難しそうだし、
固いイメージをもちやすいのも事実。
そんなイメージがある方は、
この本を読んでみるといい。
著者:山口 周
出版社: KADOKAWA
発行日:2018年5月18日
なぜなら、
この本に書かれている哲学は、
非常にコンパクトに分かりやすく、興味をもてるように書かれているから。
この本は、
よくある哲学の入門書とは違います!
哲学の説明ではなく、
著者自身の考えを含め述べている本。
身近な話題を用いて、
ビジネスの場に置き換えて説明し、
独自のストーリ展開されており、読みやすく理解しやすい。
哲学って、
こうやって使うんだ!こうやって考えるんだ!
哲学に興味をもてる一冊です。
武器になる哲学
「武器になる哲学」では、
哲学を学ぶメリットを4つに挙げています。
- 状況を正確に洞察する
- 批判的思考のツボを学ぶ
- アンジェンダを定める
- 二度と悲劇を起こさない
※アンジェンダは課題のこと
メリットをもう少し分かりやすく言うと、
このような感じになる。
<状況を正確に洞察する>
今何が起きているのかという問いに対して、
答えを出すための大きな洞察を得ることができる。
<批判的思考のツボを学ぶ>
自分たちの行動や判断を無意識のうちに規定している暗黙の前提に対して、
意識的に批判・考察してみる知的態度や切り口を得ることができる。
<アンジェンダを定める>
見送るべき常識と疑うべき常識を見極める選球眼を持つこと。
その選球眼を与えてくれるのが、空間軸・時間軸での知識の広がり=教養。
目の前の世界をそういうものだとただ受け止めるのではなくて、
比較相対化してみるために教養が必要。
<二度と悲劇を起こさない>
過去の悲劇を元にしてられた教訓をどれだけ学び取れるか。
このような思考や視点で物事をみれば、
今までとは世界が大きく変わると思う。
哲学を学ぶことで、
自分の世界は広がって行く。
本書では、
哲学者を数多く紹介している。
以下のような有名な哲学者をはじめ、
数多くの哲学者を取り上げている。
(例)
アリストテレス/プラトン/アダム・スミス/ソクラテス
エイブラハム・マズロー/チャールズ・ダーウィン/ルネ・デカルトなど
哲学者を時代別ではなく、コンセプトに分けて
その思考プロセスを短く紹介している。
また、その紹介の視点が興味深い。
「パラダイムシフト」
例えば、
トーマス・クーンの「パラダイムシフト」に関して
世の中はいきなり「ガラリ」と変わらない
パラダイムシフトは、
科学領域を超えてはるかに広い範囲で用いられるようになりました。
クーンが当初想定した概念からかなり拡大されて用いられています。
本来、パラダイムシフトというのは、
非常に長い時間をかけて起きるもの。
例えば活版印刷技法や壊血病や感染症の予防といった画期的な発明は、
普及するまでにする数百年という時間がかかっている。今日では、様々な領域で、 たった2年足らずの間でパラダイムがシフトしまくってるように言われていますが、クーンに言わせれば、そんなものパラダイムシフトではなく、単なる「意見」や「方法」でしかない、ということになります。
逆に言えば、私たちがいま、100年単位で起こっているパラダイムシフトの中にいるのだとすれば、それはどのようなパラダイムから、どのような別のパラダイムシフトシフトなのか?時間軸を長く取って考えて見る必要がありそうです。
出典明記 武器になる哲学 山口周 KADOKAWA P341
今では、よく使われている言葉
「パラダイムシフト」
パラダイムシフトも本来の意味を考えることで、
このように時間軸を取り入れて考える視点をもらえた。
いろいろな考えを知ることで、
異なる考え方にも寛容になれる。
「自分ならどのように考えるか?」を
考えて読み進めるのも面白い。
そのプロセスとアウトプットから学びがあり、
読んでいくと「なるほど!」と思う部分がたくさんある本だ。
<まとめ>
一つの哲学に対して書かれている文章は、
それほど長くなく、読みやすい。
そして、
解りやすく哲学を学べる。
本書から、物を考える時の切り口、
哲学の解釈の仕方、使い方を知ることができた。
哲学者の考えに触れ、
自問自答をすることで、新しい発見があると思う。
「哲学の使い方」を学んで、
あなたの武器にしてみてはいかがでしょうか?
⇒ 武器になる哲学